前回からの続き。
まずはこちらからどうぞ。
私の場合ではあるけれども、「2人」でいるのって、お互いのずぼらとかポカとかを防げたり最小限に抑えられたりして、効率がいいよなあと思う。
4,5年ほど前のこと、彼には一度、こういうことがあった。
住民票と証明写真を、明日会社に提出しなければならないのに、そのどちらも手元にない、という。
休日のうちに用意するはずだったのに、すっかり忘れたらしい。
時すでに夜の8時。役所はやってない。
珍しく夫が取り乱していた。
そして私が手を差し伸べた。
住民票は、コンビニで取れるよ。
証明写真は、今私が撮ってあげるから、その白い壁の前に立ちな。
このときの自分のことは、今思い出しても「姐さん」って感じがする。
私は、どういう表情をしていいかわからなそうな、決まらない顔の夫の写真を撮って、彼をコンビニに行かせている間に、自分はパソコンに向かい、彼の神妙な顔を3×4センチに加工して写真用紙に印刷して、カッターで切り取って、裏面に両面テープまで貼って準備しておいてあげた。
夫のお世話をした!という経験はほとんどないので、このときばかりは「助けてやったぞ」という私の記憶がドヤ顔である。
夫のことばかり書いてしまったが、私のことも書いておこう。
5年くらい前、私は都内の地下鉄のある駅に降り立ったあと、なぜその駅で降りたのかわからなくなり、
「今、私はどこに行こうとしているんだっけ」という、どうしようもない電話を夫にかけたことがある。
そのとき夫は伝口で、「なんか誰かにプレゼントするお菓子買いたいって言ってたよ」と、慌てず騒がず言った。
それで無事に、そうだった、私は近江屋洋菓子店に行きたかったんだよ、と本来の目的を思い出せたのである。
あと、こういうこともあった。
10年位前、夫と出かけたショッピングモールでイヤーマフを買い、帰宅しようとする電車の中でショップ袋を開けながら、「今、使いたいなあ。あ、だめだ、タグがついてる。」という会話を夫としていたら、隣に座った親切なご婦人が、「今、会話が聞こえちゃって」と、携帯用ソーイングセットの中から小さなはさみを差し出してくれた。
これ、独り言で「今かぶりたいなあ。あ、だめだ、タグがついてる。」と言ってたら、ご婦人ははさみを貸してくれなかった気がする。
2人でいるのはいいものだ。
夫には感謝している。
回りくどくなったけど、そういう話。