つまがたり

どうでもいいことを、あーでもないこーでもないと大真面目に。2児の母が、悩みながら考えたことをつづりつつ、どうにか前に進もうとするひとり語りブログです。

処分を免れてきた本

これまで本を何百冊も処分してきたのに、

どうしても執着してしまって手放しがたい本がある。

 

 1.『日常に侵入する自己啓発: 生き方・手帳術・片づけ』

牧野 智和 勁草書房 2015-04-09
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分析枠組みの設定がうまいな~と思って魅了された本。

こんな論文を書いてみたいなと思ったことを覚えている。

母や妻としての役割に収まるのではなく、世間の目を気にするのではなく、より敷衍すれば自分以外が敷いたレールに乗って生きるのではなく、自分自身で人生行路をすべて決めていくことが女性向け「年代本」では称揚されている。

「こうあらねば」「こうあるべき」「誰かのために」「子どものために」「夫のために」「みんながするから、私も……」といった他者を優先する発想はやめよう、「いい人・優等生」になることもやめよう、成り行きに任せてなんとなく生きていくのもやめよう、等々。

さまざまな物言いを通して、他者や世間ではなく自分自身が望む人生をこれからは送っていこうと促されている。

(中略)

自分らしい人生の対立項としてしばしば言及されるのが「おばさん」である。

(中略)

他者から与えられた人生のレールに無自覚に流された結果のネガティブな表象として「おばさん」なるものは対置され、差異化・卓越化の対象となっている。(p.118)

 

2.『公共性』

齋藤 純一 岩波書店 2000-05-19
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ある人が公共的空間から去るということは、それだけ私たちの世界が貧しくなるということを意味する。

なぜなら、正確にいえば世界そのものというものは存在せず、「世界はこう見える」が複数存在するだけだからである。(p.50)

これは忘れたくない言葉。

利害関係で結ばれた誰かの入退場は、損得でしか見られなかったりするものだけど、誰かが目の前から退場することを、世界の豊かさの損失だと、そういう認識を自分が持てるか?

あるいは、誰かが退場しようとする場面を、豊かさの損失を理解して、私はその腕をつかんで引き止めることができるのか? 

 

3.『新しい貧困』

ジグムント・バウマン 青土社 2008-07-24
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これを読んで、私が物欲を止められないのも故あるものなんだなーとわかった。

ミニマルな生活にあこがれるけど、モノを欲さないことなどできない。

適切に機能している消費社会では、消費者が進んで誘惑されようとする。

彼らは、楽しみから楽しみへ、誘惑から誘惑へ、一つの餌を飲み込むと別の餌へという生活をおくるが、それらは、それぞれ多少違う新しい楽しみや誘惑や餌であり、おそらくは、先行するものよりも強力なものである。(p.53)

欲しいものは、今、欲しいんである。

経験の探求には先延ばしは許されない。というのも、遅延がもたらすのは「チャンスをつぶす」ことに他ならないからである。

(中略)

経験のチャンスは、はずみをつけて捕まえるものである。

それを捕まえるのに最適な瞬間などない。

この点で、ある瞬間と別の瞬間は別個のものであり、各瞬間がその目的にとって同じように適しており、「熟している」のである。(p.64)

 

4.『アイドル国富論』

境 真良 東洋経済新報社 2014-10-03
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アイドル論と日本経済史がどうリンクするのさと思いつつ読んだ一冊。

「ヘタレ」と「マッチョ」で読み解くのが面白かった。

現代におけるアイドルとは、今や、日々をキャンディーのように甘い物語で包みその醜さを覆い隠す存在ではなく、むしろ日々が戦いであることをファンたちに突きつける存在なのです。(p.183)

 

5.『なぜ富と貧困は広がるのか』

後藤 道夫,木下 武男 旬報社 2008-06
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社会の仕組みがわかる本。

労働者は労働力商品を売ることで、賃金を得て生活できるわけですが、このことは、労働者が、他人の命令の下で、自分が一日に発揮できるエネルギーの大部分を費やすことを意味します。

(中略)

 なんでも自分でつくる江戸時代の農民が、つくったものを全部自分とその家族で使い切って、毎年、余分には何も残らないとしたら、年貢を出すなんて不可能ですね。

年貢を出していた、といことは、たとえどんなに苦しくても「余り」を生み出せていた、ということです。

つまり、自分たちがぎりぎり暮らしていくのに必要な物資を作るのに必要な労働量(≒労働力の価値)よりも、多くの労働をしていた、とういことです。

(中略)

私たちは、自分と自分の家族が生活していくのに必要な物資を作るのに必要な労働力よりも、ずっと多くの労働量を毎日提供していると考えてよいでしょう。

企業の利潤は、そこに雇われている労働者たちが新たに支出した労働量と、それらの労働者の労働力をつくるのに必要な労働量の差から生まれるのです。(p.28-30)

「私たちは、自分と自分の家族が生活していくのに必要な物資を作るのに必要な労働力よりも、ずっと多くの労働量を毎日提供している」、そうであるならば是非、提供する労働量を少なめに設定したいけど、そうすると賃金が俄然低くなるようになってしまう。

あるいはそんな仕事は、私の手に入る場所には存在せず、あるいはあっても、それだと子どもを保育園に入れる要件を満たさず入園できなくて詰む。

なんだかそのへん、ものすごく企業の都合のいいように、生き方が固定させられてはいないかと考えさせられた。

 

6.『キーワードで読む現代日本社会』

5とやや系統の似た本で、現代社会の仕組みをキーワードでさっくりと理解するのに役立ったのはこの本。 

中西新太郎,蓑輪明子,植上一希,柴田 努,鈴木 航,二宮 元 旬報社 2013-04-29
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いずれは、子どもたちと、社会がどう成り立ってるかの話もしたいと思うから、やっぱり手元に残しておこうと思う。

 

いずれの本を読んでも、

筆者の意志や理想が感じられて、読み解く喜びを感じさせてくれる。

アカデミックはちゃんと自分で扱えるようにすると武器になる。

 

なぜかどれも、自分の専門分野ではない不思議。

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